ブレイクスルー

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10月31日（土）は朝の10時からマンションの総会が予定されていた。
通常総会の場合は、この20年間、常に議決権を理事長に委任して100％欠席してきたのだが、今回の総会は「マンションの建て替え決議」という大きな大きな決定を成す大切な総会だった。
幸いな事に会場に足を運ばずともZoomでも参加できるようになった為、Zoomで参加すると決めていた（建て替えの賛否については事前投票をしたので当日は最終的な採決の結果を知るため）。

なので、犬のトレーニングや散歩は朝の10時までには終わらせて、コーヒーでも飲みながら自宅からZoomで総会に参加するぞ、と決めて前夜、しっかり目覚ましをかけて寝たにも関わらず・・・朝寝坊して起きたら8時半だった。

慌てて散歩の支度をして運動場へ行って、エルザから順番にトレーニングを開始したが、エルザが終わったところで９時35分だった。
ブリとケスの時間が無いっ💦でも10時からの総会は絶対に逃すことは出来ない。

一旦、家に戻り、総会が終わってからブリとケスのトレーニングと運動をしようか？？？と悩んでみた時に・・・

ハッ！！！

Zoomなんだからスマホがあれば、どこからでも参加できるではないか！！

そんな、そんな、当たり前の事なのに、いつも会社のZoom会議は自宅の食卓テーブルで参加している為、頭っから家に帰らないとって思っていた。

というわけで、エルザの練習の後は運動場の駐車場で、ジェットボイルでお湯を沸かして、コーヒーを入れて、予定通りに珈琲を飲みながらZoomで総会に参加した。
ただし、場所は車の中だけど。

私が住むマンションは1977年に建てられた築43年、世帯数102世帯の中規模マンションで、私自身はこのマンションに住んで20年を越えた。
一度、建て替えプロジェクトが発足したものの、賛成数が議決権の80％に達することが出来ずに頓挫し、今回の建て替えプロジェクトは2回目の挑戦となった。

日頃全く自分の住むマンションの自治問題について興味薄な住人の私であるが、今回の建て替えプロジェクトは自分の人生にも大きく影響を及ぼすであろう。
とは言え・・・相変わらず、主体性が無いというか、建て替えについては「どちらでも良い」というのが正直なところだった・・・。

私がどちらに投じたか、についてココでは明かさないが、マンションの建て替えは賛成者92％で、プロジェクトは成立した。
建て替えプロジェクト委員長の言葉を聞き感銘を受けつつ、途中でZoomから退出して、犬のトレーニングに戻ったのだが・・・興味深い話を建て替え委員長がしていた。

なんと全国で老朽化したマンションの建て替えプロジェクト、たったの5％しか成立していないそうだ。95％は「区分所有者の4／5の賛成」という数値の前に建て替えプロジェクトは破れているそうだ。
私の住むマンションも一回目は頓挫して、今回は2回目チャレンジだったが、建て替えプロジェクト委員長は当初、「失敗に終わるんだろうな・・・」という思いからスタートした、と語った。
だからこそ、建て替え80％の賛成票を取ることを目標に働くのではなく、いかにこの老朽化している共有財産であるマンションとそこの我々住人にとって、最大公約数での最善の選択とは何だろうか？という事を、プロジェクトを進める期間（5年）を通じて追及し、住人全員に良い情報も悪い情報も全て共有する事を目標にしようと決めた、と説明されていた。

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良い話だな、って思いながら聞いた。
まさしくブレイクスルー。

とかく、私（または私達？）は目的と目標を混合しがちだと思う。「結果」を意識すればするほど、「目的」の「目的」を目標としてセットしがちだと思う。
今回のマンション建て替え推進プロジェクトも、プロジェクトの目的は「マンションの建て替え」であるが、だから目標は「80％の賛成者を獲得する」としてしまうと、数値的に明解なゴールは示されているが、中身が無いというか・・・。

建て替え推進プロジェクト委員長曰く、「責任の重さとプロジェクト期間の長さにつぶれそうな思いもあった」と。
さらにプロジェクト最後の1年でコロナ発生、本当に苦難続きのプロジェクトを、ボランティアとして委員長を務め、リードして下さった事に頭が下がる思いだった。

そんな思いから設定した「目標」で5年間走ったからこそ、反対者30％だった1回目のプロジェクトから、反対者8％にまで縮小したのだろう。

世の中、「成功事例」は多々、紹介されているけれど（美白に成功とかダイエット成功とか主婦の起業とか色々‥）、なかなか「成功」を目の前で見る経験って少ないと思う。全国の建て替えプロジェクトのたった5％しか成功していない、というとてつもなく難しいプロジェクトの成功。
感謝の言葉しかありません。

私自身は成功体験なんて、過去を振り返っても、ほぼ皆無。
あまり建て替えプロジェクトに熱心ではなかった私が、Zoomで話を聞きながら感銘したのだから、プロジェクトに関わってこられた方々にとっては胸の熱くなる1日であったと思う。

というワケで、長年住み続けてきた二子玉川という場所から、運命的には、引っ越さなければならない運命となった。この機会を私はみずから積極的に選択したわけでは無いのだが、大切な「機会」にしようと思う。
ブレイクスルーを忘れずに。

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